久遠の空 表紙絵妄想第2巻

第2巻 表紙絵妄想



神谷さんが、仇を討った。

大阪への任務に無理やりついて来た
彼女が、思いも寄らぬところで
お父上と兄上の敵に会った。
それが偶然にも、壬生浪士組の名を語り
押し借りをした犯人の一味で、
私と斎藤さんで踏み込んだところに
神谷さんも居合わせて、
相手の自害という形だったものの、
一応神谷さんの仇討ちは終了した。


これで、あなたは自由だ。
あなたが無事でここまで来られて、
本当によかったと思ってます。
女子に戻る時がきました。
人を斬る感触を味わうこともなく、
誰にも女子だと気づかれずに、
切り合いで怪我を負ったり命を落とすこともなく、
見事本懐を遂げられましたね。
これからは女子として幸せになってください。

そう思って、お小夜さんの件を任せて
笑顔で送り出したのに。

なんだってあなたは帰ってきたのですか。
仇討ちを遂げた今、この浪士組に
何の目的もないはずなのに。
私怨を越えて、己の中に何の大儀も
持たないのに。
私心を殺し、鬼の表情を見せる私を見て、
あれほどおびえた顔をしていたのに。
本当は女子なのに、何故笑って
私のような鬼になりたいと言うのですか。


仕方がないですね。
その背を、私が守りましょう。
あなたが刀を抜く時は。
まだまだ剣技は未熟だけれど、
せめて後ろ傷を受けて
逝くことのないように。
武士らしく。
武士として。









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